字幕制作作品リスト

歓びの毒牙(きば)

L'uccello dalle piume di cristallo

  

1969年/イタリア・西ドイツ/カラー/97分

監督・脚本:ダリオ・アルジェント

撮影:ヴィットリオ・ストラーロ

音楽:エンニオ・モリコーネ

出演:トニー・ムサンテ、エヴァ・レンツィ、スージー・ケンドール

字幕監修:矢澤利弘

©TITANUS Licensed by RAI Com S.p.A. - Rome, Italy. All Rights Reserved.

 

アメリカ人作家サム・ダルマスはローマに滞在中、ギャラリーで起こった殺人未遂事件を偶然目撃する。謎の連続殺人事件に巻き込まれた彼は帰国を断念し、現場で耳にした《鳥の鳴き声》を手がかりに真相を解き明かそうとする。

原作はフレドリック・ブラウンの『通り魔』。アルジェントの監督デビュー作であり、彼の独特の映像美学と緊張感あふれるストーリーテリングが光る作品。特にショッキングなビジュアルと斬新なカメラワークが特徴で、後のジャッロ映画に多大な影響を与えた。

 

わたしは目撃者

Il gatto a nove code

  

1970年/イタリア・西ドイツ・フランス/カラー/112分

監督:ダリオ・アルジェント

音楽:エンニオ・モリコーネ

出演:ジェームズ・フランシスカス、カール・マルデン、カトリーヌ・スパーク

字幕監修:矢澤利弘

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遺伝学研究所での謎多き侵入事件と、所員である博士の列車での轢殺事件。関係者が次々と殺される中、盲目の元新聞記者フランコ・アルノと若き新聞記者ジョルダーニは、決死の覚悟で犯人を追い詰めていく。

『歓びの毒牙』大ヒットを受け、各国からの出資を受けて作られた監督第2作。サスペンスとスリルに満ちた心理描写、科学と犯罪が絡み合うプロットが魅力の本作で、アルジェントは自身の十八番である華麗なる殺人描写に磨きをかけていく。『ダーティハリー』『時計じかけのオレンジ』『フレンチ・コネクション』などがひしめく1971年の映画興行界でイタリアを代表し、ジャッロ映画の礎の形成に寄与した。

 

4匹の蝿

4 mosche di velluto grigio

  

1971年/イタリア/カラー/104分

監督:ダリオ・アルジェント

音楽:エンニオ・モリコーネ

出演:マイケル・ブランドン、ミムジー・ファーマー、ジャン=ピエール・マリエール

字幕監修:矢澤利弘

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ロックバンドのドラマー、ロベルトは黒いハットの男に付きまとわれていた。

ある晩、限界に達したロベルトは男に詰め寄るも、揉み合いの末に誤って彼を殺害。その現場を覆面を被った謎の人物に撮影されてしまう。やがて脅迫電話がロベルトを襲い、彼の周りでは不可解な殺人事件が起こり始める。

「動物3部作」において最も音楽と映像の融合が際立つ作品。残酷と優美が同居する、アルジェントの革新的かつスタイリッシュな演出が光る。そして映画のラストを飾る驚異的なスローモーション撮影は、圧巻の一言に尽きる。

 

快楽の園

Il giardino delle delizie

 
1967年/イタリア/モノクロ/74分
監督・脚本:シルヴァーノ・アゴスティ
撮影:アルド・スカヴァルダ/ヴィットーリオ・ストラーロ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:モーリス・ロネ/イヴリン・スチュワート(イダ・ガッリ)/レア・マッサリ
 
公開当時、法的に離婚が認められていなかったイタリア。本作はカトリック色の濃厚な公権力から検閲され、20分程度カットされ、R18指定となった。個人 の自由と権力の椛との関係を一貫して追求するアゴスティが結婚という制度をテーマに据えたデビュー作。官頭の絵画はヒエロニムス・ボス『快楽の園』。
2009年 主催の特集上映「アゴスティとモリコーネ」@京都駅ビルシネマ のため制作
 

クワルティエーレ~愛の渦

Quartiere

 
1987年/イタリア/カラー/81分
監督・脚本:シルヴァーノ・アゴスティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:パオラ・アゴスティ/ロレンツォ・ネグリ/ニーノ・マンゾーネ
 
ローマ市内、実際に監督の住む界隈で展開する4つの物語。人生の4つのステージである若年期、青年期、壮年期、老年期の物語が、それぞれ冬・秋・夏・春に 対応する。どれにも共通するのは、孤独であり、誰かしら、あるいは何かしらの不在だ。ドキュメンタリー作家でもあるアゴスティが、クロースアップを多用し た独特の映像美と想像力を駆使して、はみ出し者たちが生きた愛の現実を情感たっぷりに描く。「人間らしく生きていない」ことを自覚していない人たちに捧げ られている。
2009年 主催の特集上映「アゴスティとモリコーネ」@京都駅ビルシネマ のため制作
 

カーネーションの卵

Uova di garofano

 
1991年/イタリア/カラー/103分
監督・脚本:シルヴァーノ・アゴスティ
音楽:ダニエーレ・ヤコノ
出演:フェデリーコ・ザノーラ/ルー・カステル/アラン・キュニー
 
第2次大戦の終わり、北イタリアは未曽有の混乱を迎えていた。ローマから敗走しつつも未だ北部では勢力を 保っていたドイツ軍とファシスト。彼らに抵抗するパルチザン。シチリアから北上を続ける連合軍。幼少期に激動の時代を体験したアゴスティの自伝的作品。大 人になった少年の長いフラッシュパックとして物語が展開する。
 
2009年 主催の特集上映「アゴスティとモリコーネ」@京都駅ビルシネマ のため制作

天の高みへ

Nel piu' alto dei cieli

 
1976年/イタリア/カラー/83分
監督・脚本:シルヴァーノ・アゴスティ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
出演:リヴィオ・バルボ/エディー・ビアジェッティ/ジョルジョ・ボノーラ
 
北イタリアの田舎町にある病院の関係者たちがヴァチカンへ赴き、法王に謁見する。メンバーは、当時多くいたマルクシズムに傾倒するイエズス会神父、世渡り 上手の町の名士、地位に固執する地元在家カトリック組織の代表、医師、看護師、ろうあ者など14人。ヴァチカンで乗り込んだエレベーターの中で、事態は思 わぬ展開を迎え、悲劇が幕を開ける。「エンディングを観なければ、この映画は理解できない」とは監督の言葉。人間の「仮面」を意識させる怪作。
2010年 主催の特集上映「アゴスティとモリコーネ」@淡路・東宝2 のため制作
 

人間大砲

L'uomo proiettile

 

1995年/イタリア/カラー/86分
監督・脚本・撮影・編集:シルヴァーノ・アゴスティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ブルーノ・ウォルコヴィッチ/パオラ・アゴスティ/ジュリア・ボスキ

 

文明観、愛と嫉妬、映画へのオマージュがぎゅっと詰まった作品。「芸術としての映画」を発明したとされるジョ ルジュ・メリエス(1861-1938)に捧げられている。引用されている映画作品は以下の通り。タルコフスキー『鏡』、エイゼンシュテイン『イワン雷 帝』『アレクサンドル・ネフスキー』『ストライキ』、ウエルズ『審判』、ポンテコルヴォ『アルジェの戦い』、レッジョ『コヤニスカッツィ/平衡を失った世 界』、メリエス『トルコの死刑執行人』『マジック・ランタン』、ラング『メトロポリス』。
2010年 主催の特集上映「アゴスティとモリコーネ」@淡路・東宝2 のため制作
 

シルヴァーノ・アゴスティ 見えないものを見る人

Il senso del mistero

 
2003年/イタリア/カラー/30分
監督:パオロ・ブルナット
出演:シルヴァーノ・アゴスティ/ファビオ・ヴォーロ
 
ヴェネツィア映画祭ニュー・テリトリー部門正式出品
みずみずしい映像と小気味よい編集センスで今作を監督したブルナットは、イタリアの映画業界ではよく知られた人物で、1935年生まれの75歳。ドキュメ ンタリー、ルポルタージュ、実験映画など、これまでに長短含めて600本以上の作品を制作し、それらは27カ国で公開されている。1987年には坂本龍一 を被写体にした作品を撮るなど、日本への興味も持ち合わせている。
2010年 主催の特集上映「アゴスティとモリコーネ」@淡路・東宝2 のため制作

ふたつめの影

La seconda ombra

 
2000年/イタリア/カラー/84分
監督・原案・脚本・撮影・編集:シルヴァーノ・アゴスティ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
 
この映画は、精神医療の先進国イタリアの伝統的精神科医、フランコ・バザーリアに捧げられている。彼が現場 で感じた苦悩と喜び、その成果としての大いなる改革。患者たちと一緒に挑んだ精神病院の解体。この分野では後進国と言われる日本での上映が大きな意義を持 つことは間違いない。さまざまなエピソードに心を揺さぶられ、鑑賞後のカタルシスに酔いしれながら気付くのは、難しいのは新しい発想を持つことではなく、 古い観念を乗り越えること。この作品は、私たちに「乗り越える」勇気と強さを与えてくれる。
2011年 主催の特集上映「イタリア映画界の異端児 アゴスティの世界」@元町映画館 のために制作
 

ヴィヴァルディの四季

Le quattro stagioni

  

2006年/イタリア/カラー/50分

監督:シルヴァーノ・アゴスティ

出演:ウート・ウーギ/ローマ交響楽団

  

イタリア最高峰のヴィアオリニストたるウート・ウーギが、ローマ交響楽団を率い、世界遺産アッシジのバジリカ大聖堂で演奏したアントニオ・ヴィヴァルディの『四季』。

日本でもおなじみのこの曲を彼がどう解釈するのか。そのリハーサルと本番の様子を、ジョットのフレスコ画やウンブリア地方の美しい田園風景の映像を挿みながら構成した50分の音楽映画。

 

2012年 御堂筋オープンフェスタ2012のイベントの1つとして特別公開のため制作

  

青い惑星

Il pianeta azzurro

 
1982年/イタリア/カラー/90分
監督:フランコ・ピアーヴォリ
制作:シルヴァーノ・アゴスティ
 
同年のヴェネツィア映画祭でユネスコ賞や銀のリボン(ナストロ・ダルジェント、Nastro d'argento)新人監督賞をはじめとする複数の賞を獲得。1984年アカデミー賞ドキュメンタリー部門ノミネート。 北イタリアの農村を舞台にした一種のドキュメンタリーだが、一切のセリフを排し、自然の映像と音のみで一日の時間の経過と四季を同時に表現する独創的な編 集法を採用している。作品を観たベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)、アンドレイ・タルコフスキー、エルマンノ・オルミ(Ermanno Olmi)といった名匠が賛辞の声を寄せる。
 

フィルムがない!

Il caricatore

  

1996年/イタリア/95分/デジタル上映

監督・脚本・出演:エウジェニオ・カプッチョ

出演:マッシモ・ガウディオーゾ、ファビオ、ヌンツィアータ

音楽:ダニエーレ・セーペ

挿入曲:

"Ciento catene" A.Chiarazzo R.Ruocco, 歌手Maria Paris(冒頭の曲)、MP3販売先

”Sta miss ‘nciucio” M.Galdieri  M.De Angelis、歌手Maria Paris、MP3販売先

"Arriverci Roma" Renato Rascel、MP3販売先

 "Passione"  L.Bovio E.Tagliaferri, N.Valente

  

零細映画製作プロダクション「ボッチャ・フィルム」。ここは今、深刻な危機に陥っていた。たった一缶のフィルムしか手元になく、金策の当ても全くないのだ。責任者であるファビオは、今ここの状況を打開する傑作短編映画を撮るために、すべてを犠牲にする覚悟で立ち上がった。リアリズムの傾倒者マッシモ、アメリカ映画にご執心のエウジェニオを はじめとするファビオの仲間たちも巻き込んで、彼らはついに映画作りに取りかかるが、まず脚本作りからして難航し… 資金難、方向性の違い、生活に追われるメンバー。「ボッチャ・フィルム」は荒れ狂う創作の海へ泥舟で漕ぎ出してゆく。

  

ただ彼女と眠りたかっただけなのに

Volevo solo dormirle adosso

  

2004年/イタリア/96分/デジタル上映

監督:エウジェニオ・カップッチョ

脚本:マッシモ・ロッリ、アレッサンドロ・スピナーチ

音楽:フランチェスコ・チェラーズィ

出演:ジョルジョ・パソッティ、市川純

  

マルコ・プレッシは、ある多国籍企業の若きエリート社員。有能で同僚からの人望も篤い彼は、ある日フランス人上司ジャン=クロードに重要な任務を言い渡される。それは年末までの3ヶ月で従業員25人のリストラを断行することだった。目標を達成した暁には、十分な報酬と出世を約束するというのだが… 家族も恋人も職場での人間関係も省みず任務を断行するマルコは「首切り」の異名を頂戴し、ついに仲間達一人一人と「面談」を始める。そんな彼の前にカメルーン人の女が現れて…

  

ふたつにひとつ

Uno su due

  

2006年/イタリア/100分/デジタル上映

監督:エウジェニオ・カプッチョ

脚本:エウジェニオ・カプッチョ、ファビオ・ヴォーロ、ミケーレ・ペッレグリーニ

音楽:フランチェスコ・チェラーズィ

出演:ファビオ・ヴォーロ、ニネット・ダヴォリ、ジュゼッペ・バッティストン

  

30歳のロレンツォは、友人パオロと弁護士事務所を経営しながら新規事業も手がけている。恋人シルヴィアとの関係も良好で、順調な人生を送っていた。ある日、ロレンツォは意識を失って病院に運ばれ、急遽、脳神経外科に検査入院することになる。それは晴天の霹靂だった。脳腫瘍の可能性に苛まれながらの入院生活の中、ロレンツォは同じ病室の孤独な老人・ジョヴァンニと親交を深めてゆく。検査結果も出ないまま一旦退院したロレンツォだったが、ハンディキャップを背負った彼を取り巻く状況は劇的に変化していくのだった。

  

僕はナポリタン

Song'e Napule

  

2014年/イタリア/カラー/114分

監督:マネッティ兄弟

原作:ジャンパオロ・モレッリ

音楽:ピヴィオ&アルド・デ・スカルツィ、ロベルト・ピチウッタ

出演:アレサンドロ・ロジャ、ジャンパオロ・モレッリ、セレナ・ロッシ

  

名門音楽院を卒業したものの、ピアニストとして食べていけない青年パコは、親のコネで警察官になることに。ある日、上司から下った命令は、誰もその顔を知らないことから「ゴースト」と呼ばれるマフィアの殺し屋の正体を突き止めること。彼は地元の人気バンドにメンバーとして潜り込み、ゴーストが参列するという結婚式へ向かうのだが…? ナポリタン(ナポリ育ち)でありながらナポリにまったく馴染めないパコが裏社会の騒動に巻き込まれていくコメディー。

  

風はめぐる

Il vento fa il suo giro

  

2007年/イタリア/カラー/110分

監督:ジョルジョ・ディリッティ

出演:ティエリー・トスカン、アレッサンドラ・アゴスティ、ダリオ・アンギランテ

  

フランス国境に近いアルプスの麓。少数言語オック語の話者が暮らす高齢化の進んだ山村。 フランスで畜産を営んでいたフィリップが、地元での原発新設を機に、家族と山羊を連れて村へ引っ越してきた。当初は寛大に迎えてくれた村人たちだったが、嫉妬と無理解からフィ リップ家族の存在を疎ましく思うようになり、共存はしだいに難しくなる。日本で公開された2作がいずれも高評価を得たディリッティが、師匠エルマンノ・オルミ譲りの静かな目線でスローライフの裏側を見つめたデビュー作。

  

青い眼のアリー

Ali ha gli occhi azzurri

  

2012年/イタリア/カラー/100分

監督:クラウディオ・ジョヴァンネージ

出演:ナデル・サラハン、ステファノ・ラバッティ

  

ローマから程近い海水浴場オスティアの冬。エジプト移民2世の少年ナデルは友達とつるん で盗みを働く日々。16才のナデルにはイタリア人の彼女がいるが、家族からは付き合うなと言われている。ある日、彼が家出をしてから過ごす1週間。寒さと孤独、ひもじさと恐怖に耐え、友情を失いながらも自分のアイデンティティを追い求めるナデルが胸を打つ。かつてローマ郊外の寄る辺ない若者たちを活写したパゾリーニの詩からタイトルを拝借した監督は、うらぶれたストリートに生きるナデルに現代固有の問題を投影する。

  

モスクでピッツァ!?

Pitza e datteri

  

2015年/イタリア/カラー/92分

監督:ファリボルツ・カムカリ

出演:メディ・メスカ、ジュゼッペ・バッティストン

  

突如モスクを追い出されたヴェネツィアのイスラム教コミュニティー。あろうことか、その場所はド派手な美容室に変貌する。神聖なモスクを取り返すべく送り込まれたのは、若き指導者サラディーノ。心優しい彼は、ヴェネツィア生まれのイスラム教改宗者ベーピらとともに、困難に立ち向かう。そのベーピをコミカルに演じるのは、国内最大の映画賞ダヴィッド・ディ・ドナテッロで三度に渡り助演男優賞を獲得したジュゼッペ・バッティストン。

  

俺は平凡イタリアン

Italiano medio

  

2015年/イタリア/カラー/86分

監督:マッチョ・カパトンダ

出演:マッチョ・カパトンダ、ルイージ・ルチアーノ、エンリコ・ベンティ

  

厳格なエコロジストのジュリオは、社会問題に無関心な一般人に日々苛立っているのだが、その行き過ぎた言動には、ガールフレンドのフランカも愛想をつかしてしまうほど。失意のジュリオは自暴自棄になり、友人に勧められるまま、ある錠剤を口にする。それは人間の脳の働きをわずかに抑える魔法の薬だった…。人気芸人カパトンダが監督・主演する、テレビのバラエティー番組から生まれた変わり種コメディー。

  

越境の花嫁

Io sto con la sposa

  

2014年/イタリア、パレスチナ/カラー/89分

監督:アントニオ・アウグリアーロ、ガブリエーレ・デル・グランデ、カレド・ソリマン・アル・ナッシリー

出演:ガブリエーレ・デル・グランデ、 カレド・ソリマン・アル・ナッシリー

  

福祉の国スウェーデンを目指す難民たちの姿を追ったドキュメンタリー。発端はミラノ鉄道駅での出会いだった。駅のカフェでコーヒーを飲んでいたイタリア人記者とパレスチナ人の詩人が、イタリアに着いたばかりの難民たちに話しかけられる。「スウェーデン行きの電車はあるか」。そこで記者たちが思いついたのは、密入国者として逮捕されることを避けるため、結婚式の格好で彼らに旅をさせるという突飛なアイディアだった。

  

ラテン・ラバー

Latin lover

  

2015年/イタリア、フランス/カラー/114分

監督:クリスティーナ・コメンチーニ

出演:ヴィルナ・リージ、アンジェラ・フィノッキアーロ、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ

  

イタリア映画界の伝説的俳優サヴェリオ・クリスポの十回忌に際して、プーリア州の彼の生家に集まった未亡人2人と、腹違いの娘4人。女性関係を大いに謳歌した彼の思い出を、残された女たちが各々語るうちに、予想外の事実が発覚していく。ヴィットリオ・ガスマン、マルチェッロ・マストロヤンニ、ジャン・マリア・ヴォロンテ…。今は亡き人気俳優たちの面影を投射したサヴェリオの人物像は、イタリア映画そのものに向けられたオマージュでもある。未亡人役ヴィルナ・リージは1950年代から活躍していた大女優だが、映画撮影終了後の2014年12月に亡くなっている。奇しくも本作における映画黄金時代を追悼する意味合いが強調されることとなった。

  

不可能という魅力

Il fascino dell'Impossibile

 

2015年/イタリア/カラー/60分

監督:シルヴァーノ・アゴスティ

音楽:エンニオ・モリコーネ

 

 

やつらって、誰?

Loro chi?

  

2015年/イタリア/カラー/95分

監督:フランチェスコ・ミッチケ、ファビオ・ボニファッチ

出演:エドアルド・レオ、マルコ・ジャッリーニ、カトリネル・メンギア

  

山師マルチェッロに騙されて仕事も恋人も同時に失ったダヴィッド。何とかマルチェッロを捜しだし、その代償を払わせようとするものの、豪快なはったりで人々を出し抜くマルチェッロの機知にむしろ惹かれ始める。こうして意気投合した2人は、ダヴィッドの元職場から大型コンピューターのデータを盗み出すという一大プロジェクトを思いつく。『ルパン三世』や『黄金の七人』を連想させる裏切りに次ぐ裏切りのコメディー。主役を演じるのは『神様の思し召し』のマルコ・ジャッリーニと、『俺たちとジュリア』のエドアルド・レオ。日本でも人気の実力派俳優たちが仕掛ける巧妙なトリックは何とも爽快だ。

  

アラスカ

Alaska

  

2015年/イタリア、フランス/カラー/125分

監督:クラウディオ・クペッリーニ

出演:エリオ・ジェルマーノ、アストリッド・ベルジュ=フリスベ

  

パリの高級ホテルで働くファウストは、モデルの卵ナディンと知り合う。彼女に良いところを見せようと、こっそりスイートルームを案内していたところ、あっさり客にバレてしまう。そこで上客に暴行を働いてしまったファウストは刑務所へ送られるが、その頃ナディンはモデルとして華々しいデビューを飾っていた。出所後、再起をかけるファウストに、新しく開店する クラブ「アラスカ」経営の話が舞い込むが……。幾度となく困難に阻まれながらも愛を深めていく2人のラブストーリー。主演はヴェネツィア国際映画祭主演男優賞エリオ・ジェルマーノと、『パイレーツ・オブ・ カリビアン/生命の泉』の人魚役で脚光を浴びたアストリッド・ベルジュ=フリスベ。

  

環状線の猫のように

Come un gatto in tangenziale

  

2017年/イタリア/カラー/98分

監督:リッカルド・ミラーニ

出演:パオラ・コルテレージ、アントニオ・アルバネーゼ

  

ローマの中心に住み、シンクタンクで社会的統合の問題に携わるインテリのジョヴァンニ。多様な人種が混在する郊外で調理スタッフとして働き、日々の生活に追われるモニカ。生活環境が全く異なり知り合うことはなかったはずの2人だが、彼らの子どもが好意を抱き合うことから、やむを得ず交流することになる。

  

愛と銃弾

Ammore e malavita

  

2017年/イタリア/カラー/134分

監督:マネッティ兄弟

出演:ジャンパオロ・モレッリ、セレーナ・ロッシ、クラウディア・ジェリーニ

  

南イタリアの大都市ナポリ。看護師のファティマは勤務先の病院である犯罪に巻き込まれてしまう。「タイガー」と呼ばれるクールな殺し屋コンビを相棒のロザリオと組んでいるチーロは、目撃者であるファティマを殺そうとする。しかし、チーロとファティマは若き日に愛し合った恋人同士だった。そのことに気づいた2人の恋は激しく燃え上がり、ファティマを守るため、チーロは裏社会から逃れることを決心するが…。

ミュージカル、ノワール、ロマンス、アクションなどさまざまな要素が盛り込まれた異色作。イタリアのアカデミー賞にあたるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で15部門ノミネート、作品賞など5部門を受賞した。

  

エンリコ四世

Enrico IV

  

1984年/イタリア/カラー/95分

監督:マルコ・ベロッキオ

原作:ルイージ・ピランデッロ

出演:マルチェロ・マストロヤンニ、クラウディア・カルディナーレ、レオポルド・トリエステ

  

現代イタリア映画界の巨匠マルコ・ベロッキオが、ノーベル文学賞受賞者で劇作家のルイージ・ピランデッロによる戯曲を映画化。主演にマルチェロ・マストロヤンニを迎え、仮装パーティでヘンリー4世に扮したところ、落馬して頭を打ち、自分を本物の王だと思い込んでしまった男の悲喜劇を描いた。臣下の衣装を着た使用人に囲まれ、古城に住む男は自分がヘンリー4世であると思い込んでいるが、そこへ伯爵夫人に扮した元恋人が現れたことから、事態は思いがけない方向へと進んでいく。音楽は世界的バンドネオン奏者のアストル・ピアソラが担当した。1984年カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

  

むかしMattoの町があった

C'era una volta la citta dei matti...

  

2010年/イタリア/カラー/198分

監督:マルコ・トゥルコ

出演:ファブリツィオ・ジフーニ、ビットリア・プッチーニ、ブランコ・ジュリック

  

1961年、ゴリツィア県立精神病院の院長となったバザーリアは、入院患者たちが非人道的な扱いを受けていることに衝撃を受け、病院改革に乗り出す。県当局の反発を受けながらも、患者たちの人権を取り戻すべく尽力するバザーリアだったが、ある事件をきっかけに病院を追われてしまう。

イタリア精神保健改革の父と呼ばれる実在の精神科医フランコ・バザーリアにスポットを当て、1978年に施行された世界初の精神科病院廃絶法「バザーリア法」誕生までの道のりを、精神障害患者たちとの交流を交えながら2部構成で描いた伝記ドラマ。本国イタリアでは2010年2月にTV映画として2夜連続で放映され、21%を超える高視聴率を記録した。

  

悲しみは星影と共に

Andremo in citta

  

1965年/イタリア/モノクロ/102分

監督:ネロ・リージ

出演:ジェラルディン・チャップリン、フェデリーコ、ニーノ・カステルヌオーボ

  

第二次大戦下のユーゴスラビア。ユダヤ人とジプシーへの弾圧が強まる中、レンカは、目が見えない弟のミーシャと二人で暮らしていた。ある日、憲兵に呼び出されたレンカは、出征していた父ラクトがドイツ軍の捕虜となり、収容所で死亡したと伝えられるが…。

エディス・ブリュックの自伝的小説「街へ行く」を、ドキュメンタリー出身の新人ネロ・リージが監督した戦時下の悲劇。イヴァン・ヴァンドールの哀切きわまりない音楽、厳しい戦時下での美しく、はかない青春のひととき、そして弟を思いやる姉の愛が忘れ難い印象を残す。

  

メリーゴーランド

L'ULTIMA NEVE DI PRIMAVERA

  

1974年/イタリア/カラー/95分

監督:ライモンド・デル・バルツォ

音楽:フランコ・ミカリッツィ

出演:レナート・チェスティエ、ベキム・フェーミュ、アゴスティーナ・ベリ

  

幼くして母を失い、仕事に熱中する父にかえりみられない10歳の少年ルカ。映画はその孤独でナイーブな少年の心を、悲哀に満ちた美しい映像で浮き彫りにしながら、その少年が突然、不治の白血病に襲われて父の手厚い看病も及ばず、この世を去ってゆくまでを、鮮やかにそして感動的に描き上げてゆく。

哀切極まりないメロディーに乗せて、父と子の悲しいふれあいと別れを描き、世界中の観客の涙を誘った感動作。主演は70年代イタリア映画界で大人気の子役スターだったレナート・チェスティエ。

  

アルマジロの予言

La profezia dell'armadillo

  

2018年/イタリア/カラー/99分

監督:エマヌエーレ・スカリンジ

出演:ピエトロ・カステリット、ラウラ・モランテ

  

  

ブォンジョルノ、パパ 

Buongiorno, papa

  

2013年/イタリア/カラー/109分

監督:エドアルド・レオ

出演:ラウル・ボーヴァ、マルコ・ジャリーニ、エドアルド・レオ

 

  

  

黄金の一味

Gli uomini d'oro

  

2019年/イタリア/カラー/110分

監督:ヴィンチェンツィオ・アルフィエーリ

出演:ファヴィオ・デ・ルイージ、エドアルド・レオ、ジャンパオロ・モレッリ

 

  

わしら中年犯罪団

Non ci resta che il crimine

  

2019年/イタリア/カラー/102分

監督:マッッシミリアーノ・ブルーノ

出演:アレッサンドロ・ガスマン、マルコ・ジャリーニ、ジャンマルコ・トニャッツィ、エドアルド・レオ

 

  

 

いつもの見知らぬ男たち

I soligti ignoti

  

1958年/イタリア/モノクロ/102分

監督:マリオ・モニチェッリ

出演:ヴィットリオ・ガスマン、トト、マルチェッロ・マストロヤンニ

 

  

内なる鑑

AriaFerma

  

2021年/イタリア/カラー/117分

監督:レオナルド・ディ・コスタンツォ

 

出演:トニ・セルヴィッロ、シルヴィオ・オルランド

 

  

愛の対話

 

D’amore si vive

  

1983年/イタリア/カラー/93分

監督:シルヴァーノ・アゴスティ

 

  

あんなに愛しあったのに

C'eravamo tanto amati

  

1974年/イタリア/モノクロ・カラー/125分

監督:エットレ・スコーラ

出演:ニーノ・マンフレーディ、ヴィットリオ・ガスマン、アルド・ファブリツィ、ステファニア・サンドレッリ

 

  

交通整理のおまわりさん

Il vigile

  

1960年/イタリア/モノクロ/101分

監督:ルイージ・ザンパ

出演:アルベルト・ソルディ、ヴィットリオ・デ・シーカ

  

学校

La scuola

  

1995年/イタリア/カラー/100分

監督:ダニエレ・ルケッティ

出演:シルヴィオ・オルランド、ファブリツィオ・ベンティヴォリオ

  

吸血鬼ゾラ

Zora la vampira

  

2000年/イタリア/カラー/105分

監督:マネッティ・ブラザーズ

出演:ミカエラ・ラマッツォッティ、トニ・ベルトレッリ、カルロ・ベルドーネ

  

地下聖堂の怪物

Il mostro della cripta

  

2021年/イタリア/カラー/116分

監督:ダニエーレ・ミシスキア

プロデューサー:マネッティ・ブラザーズ

出演:トビア・デ・アンジェリス、パスクアーレ・ペトローロ

  

帰ってきた中年犯罪段団

Ritorno al crimine

  

2021年/イタリア/カラー/107分

監督:マッシミリアーノ・ブルーノ

出演:エドアルド・レオ、アレッサンドロ・ガスマン、マルコ・ジャッリーニ

デルタ Delta

 

2022年/イタリア/カラー/105分

監督:ミケーレ・ヴァンヌッチ

 

出演:アレッサンドロ・ボルギ、ルイージ・ロカーショ

別の世界 Un mondo a parte
2024年/イタリア/カラー/114分
監督:リッカルド・ミラーニ
出演:アントニオ・アルバネーゼ、ヴィルジニア・ラッファエーレ

環状線の猫のようにPART2:バック・トゥ・ザ・ビーチ

Come un gatto in tangenziale - Ritorno a coccia di morto

 

2021年/イタリア/カラー/111分
監督:リッカルド・ミラーニ
出演:パオラ・コルテッレージ、アントニオ・アルバネーゼ

あゝ無慈悲  Gli ultimi saranno ultimi

 

 

2015年/イタリア/カラー/105分

監督:マッシミリアーノ・ブルーノ

出演:パオラ・コルテッレージ


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